君と最後の夏花火



今年で…今夜で、最後……。


「…たくちゃん、やっぱり、やだよ…。
これで終わりなんてやだ…。」

静かに聞こえた小夏の声は、震えて、弱々しかった。

「うん、俺も……。」

「…うん……。」

俺の言葉に、小夏はゆっくり頷く。

「でも、小夏の気持ちと俺の気持ちは全然違う。」

「……うん…分かってる…。」

震える声で言う小夏はきっと、もう泣きかけなのだろう。

「小夏は俺を、男として見てないだろ?
小夏は他の男と俺を重ねてる。」

「ちがっ!」

「小夏、最後まで聞け。」

「………。」

否定しようとする小夏の声を喘ぎり、落ち着いた声で言うと 小夏は黙って俯いた。

「小夏、俺達はお互い距離が近過ぎたんだ。
生まれた時から殆ど同じ時間を過ごしてきた。
それは確かに、特別な関係だし、友達以上の感情になる。
でもそれは恋じゃない。
だけど小夏はその感情を恋と勘違いしたんだ。
だから小夏、少し距離を置こう。
幼馴染みじゃなくて、友達の距離にいよう。」

俺がそこまで言うと、小夏は「えっ?」と俺を見た。

恐らく、『もう話さない』と俺が言うと思ったのだろう。

「小夏 1回 よく考えてみな。
本当に俺に向ける気持ちは恋愛感情なのか。
これから先、生涯一緒に居たいと思える奴は誰なのか…。
それでも小夏が俺を選んだなら 俺もちゃんと小夏の言葉を聞いて 返事をする。
だから、この夏休みで考えてみな。」

俺がそう言い終わると、小夏はゆっくり頷いた。

ここで反論しても俺は折れないと知っているからか…。

それとも、本当の気持ちに気づいたか……。