りっくんに手を掴まれて

ベッドに連れて来られた



「梨花さん
何?話してよ」


ベッドの中でりっくんが言った



りっくん

私ね…



「じゃあ、オレから言うね

ごめん、さっき
瑠珈に勝手にヤキモチ妬いた

梨花さんが瑠珈にしとけばよかったって
思ったとか、勝手に思って
でも思われても仕方ないなって

だって瑠珈
ちゃんと彼女と向き合ってるし
前に進んでるから

ごめん…
オレは進めなくて

自分なりに進もうとしてるけど
なんか上手くいかない

どーしたらいいか
わからない

結局変わってない
10年前と

梨花さんを好きってだけで
どーしたらいいか、わからない

だから梨花さんを
困らせてる
悩ませてる

ごめん

梨花さんの気持ち
知りたい

知っても
怒ったりしないし
嫌いにもならない

たぶん
もっと
好きになる

だから
梨花さんも言ってよ
梨花さんの気持ち」



りっくんが進めないのは

たぶん

私のせい



「りっくん…」



何度も言いかけた


でも言えなかった



「りっくん

りっくんのこと
大好き

りっくん、私、幸せだよ
好きな人が、隣にいてくれるんだよ

毎日、好きって言ってくれるんだよ

こんな私でも求めてくれるんだよ
愛してるって

大切にしてくれるんだよ

なのに
いつも…」



やっぱり

言えない



なのにいつも

不安なの…



私達の関係って何かな?

確かなものは何もない



「なんか、私、焦ってた

何言ってるんだろ…私

ごめんね…りっくん」



このまま

りっくんと一緒にいれたら

それでいい



「梨花さん…

梨花さんて
そんな言い方する人じゃなかったよ

食べたい物は食べたい
欲しいものは欲しい

ちゃんと言える人だった

ずっと我慢してた?
ずっと言えなかった?

ごめん
オレが言いにくくさせてる?」



「別に、りっくんのせいじゃないから
謝らな…」



「梨花さん…

結婚しよう

オレと結婚してほしい」



ベッドの中で

りっくんの声がこもって聞こえた



結婚しよう


って



心臓の音が


ドクン…



一度大きく鳴って



止まるかと思った