ベジタブルハンバーガー


その後もしのさんと何度か会った


もちろん

何もなく

食事した



「ルカくんて彼女とかいないの?」

しのさんに聞かれた



最近よく聞かれる



「いたら…
あなたと会ってませんよ」



「そーだよね…
ルカくん、浮気とかするタイプじゃないよね

私ね、結婚してるんだ」



「え?」



「ね、こんな人もいるんだよ
軽蔑した?
だから、ルカくんが
本気で彼女を探してるなら
悪いな…って」



「旦那さん、知ってるんですか?」



「もちろん、知らないよ
知ったとしても
別にいいかな…
あの人も不倫してるから」



「え…」



「私は、不倫するような勇気ないけど…
なんか寂しくて…

ごめんね、ルカくんを利用した
ルカくんがいい人でよかった

ルカくんがその気なら
不倫になってたかもしれないけど…

一度食事して
この人なら大丈夫って
不倫にならない気がしたから
ルカくんを選んだのかも

私ね
不倫する気はないの


私ね
ずっと好きな人がいるの

結婚する前から
ずっと好きだった人
その人とは結婚できなかった

年下でね
結婚とかまだまだかな…って
ルカくんと同じ年だった
彼は私のこと好きだったかわからないけどね

私はね
今でも、彼が好きなのかも…
彼に抱きしめてほしいのかも…」



「その人とは、連絡取れないの?」



「うん…取らないようにしてた

この間ね
5年ぶりかな…偶然会ったの

やっぱり好きだな…って思った」



「じゃあ…」



「ルカくんて結婚とか考えてる?」



「いや…まだ、ぜんぜん…」



結婚どころか

まだ…



「ね、そーだよね
まだ遊びたいよね
自由でいたいよね

彼と不倫とか
そんな関係は望んでないんだ

不幸にしたくないもん
彼のこと

それなら会わない方がいんだ
なのに、逢いたいと思ってしまう」



「ホントに好きなんですね」



「うん、たぶんね…」



この人は

純粋で

まだ恋をしてる