手を繋ぐのが精一杯だった



「りっくん…
ありがとう
仕事、戻って…
私、しばらくしたら帰るから…

もぉ大丈夫だから
ひとりで大丈夫だから」


梨花さんが言った



「大丈夫?」



「うん
気持ち、落ち着いたから大丈夫
ありがとう

りっくん、大人になったね…
あの時のりっくんだったらな…」



「なにが?」



「んーん…なんでもない
慰めてくれて、ありがとね」



「じゃあ、会社戻るね…

なんかあったら
いつでも連絡してよ
LINE変わってないから…」



「うん、ありがと…」



手と手が

離れた



「じゃ…」



「うん…」



梨花さんは微笑んだ


少し寂しそうに



大丈夫かな…


オレ、なにしに来たんだろ