『ごめん。
俺、他に好きな子が出来たんだよね。』


ーやめて。


『正直、お前以外にも俺を好きでいてくれる子は居るしさ。』


ーいやだ。


『だから、
俺の事、もう忘れてくれない?』



「ーいやっ…!!」


ーピピピピ、ピピピピ


……朝だ。

枕元で、昨日かけた目覚ましが私を夢から現実へ引き戻す。

重い体をゆっくりと起こし、時計を見る。

うなされてろくに眠れなかったおかげで、
今日は遅刻せずに済みそうだ。

布団を体から剥がし、髪を手で梳きながら部屋のドレッサー前までだらだら足を進めると、
目の下に隈がくっきり浮き出た血色の悪い顔が鏡に映る。

「メイクでごまかせるかな…。」

ぼそりと呟き、壁にかけてある制服に着替え始める。
その間も私は、今朝見た夢の内容を思い出していた。