ーあれは中学二年生の二月二日ー どこにでもありそうな曇天の空だった。 学校帰り、そのまま電車に乗って隣町にある塾に向かった。 電車に揺られる中で私はどんな先生が私を待ってるのか、正直不安だった。 近くにも関わらず、隣町に電車で行くのはこの時が生まれて初めて。 電車のなかで私の最寄駅を離れ、見慣れない町の景色が広がっているのを見つめながら、 「どうか女性の優しそうな先生でありますように」 と心の中で祈った。