「あ、やっぱり!」


立ち止まった彼女の元に小走りで向かった。


「もしかして高校同じなのかな。忘れ物?」


そりゃ、同じ高校でもなきゃ、平然とここにいるのはおかしいんだけど。

それなのに彼女はキョトンとしている。

…あれ?


まあ、俺の主観で“忘れ物”って言ったからか。

そりゃ、忘れ物じゃない可能性もあるわな。


「ここの全日制に通っててさ。通信制もあるから置き勉とかできないのに、ペンポーチを机に入れっぱにしちゃってたの思い出して。
それで、慌てて取りに来たんだ」


そう続けると、彼女は納得したのか


「……私、は…通信制の1年生です」

「あ、そうなんだ!なんか運命みたいだねっ」


また会いたいかも、そう思っていたら本当に会えたことで、テンションが上がってそんなことを口走っていた。

彼女の反応を見ると、黙ってしまっていた。

あ、余計なこと言ってしまったぞ…?


「名前も知らない奴に、急に運命って言われても困っちゃうか。ごめん」


そっか、名乗ってないんだった。


「せっかくの縁だし、自己紹介するね」


彼女は頷いた。


「全日制の2年の、御影優聖。部活は、バスケ頑張ってるんだ。身長172cmしかないから、ぽくないかもだけど」