ポケットに手を突っ込む。

あ、ラッキー…!

普段の癖で、スーパー行くだけなのにハンカチ入れてたー!
センキュー、俺の癖!

青いタオルハンカチを肩に当ててあげる。
特に思い入れのある物ではなかったから、躊躇なく渡す。


「じゃあ、気を付けて帰ってね」


そう言って、スーパーに改めて向かう。

完全なる自己満だな…。

人見知りなのか、特に声を出してはくれなかったから、どうしてほしいのかもよく分からなかったし。


なんて思っていると、服を引っ張られた気がした。


「ん?」


振り返り、立ち止まる。

さっきの子だ。


相変わらず俯いてしまって、小柄だからいい感じに顔が見えなくて、表情が読めないけど。


「どうしたの?ハンカチ、別に持っていってくれて大丈夫だよ?」


唯一心当たりのあったことを聞いてみた。


「……あ…」


やっと声を出したけど、少し口を開けただけで、目を泳がして黙ってしまう。


「……えっと…」

「うん。急いでないから大丈夫だよ?」


もしかして、吃音症なのかな…。

そう思い、焦らせないようにそう言った。


晃聖は連発の吃音症だから、タイプは違うけど。
彼女のは難発と言われるタイプかな。