…え、大丈夫かな??

しかも女の子は、俯いてしまってほとんど喋れていない。

気付けば俺の足は、そこに向いていた。

何の作戦も無いのに。


「寄って集って何してるんですか?」


女の子の前に立ち塞がり、大学生に目を向けた。


「寄って集ってって…人聞き悪いな。
コイツがぶつかってきたから、謝れって言ってるの。何か悪い?」


何言ってるんだ、この人。

自分は悪くないって思い込んでる。


「ぶつかってきたのはあなたですよね?俺見てましたけど、彼女はぶつからないように充分端に寄ってましたよ。
不注意だったのは、あなたなんじゃないですか?」

「は…?」


気に食わない、というような目を向けられた。

今度は溜め息をついて、


「はあぁ…うっざ。行こう、もう」

「な、行こ」


と行ってしまった。

うわ、絶対に彼女に謝ってないんだけど。

最初から最後まで、救いようのない男だな…。


俺は振り返って、女の子の方に体を向けた。

行ってしまった人達を追うより、残されて傷付いてる女の子をフォローするのが優先だ。


「大丈夫だった?」


そう問うと、彼女は静かに頷いた。


「あ、肩濡れてる!烏龍茶とかかな…特に匂いしないから、特別シミにはならないと思うけど」