「……嘘つく理由、ありませんよ」
彼女はフワッと微笑んだ。
大きな瞳が、笑うとクシャッとして無くなる。
可愛くてたまんない。
「じゃあさ、提案」
「……何ですか?」
「来週の土曜は、ハンカチ返してもらうだけじゃなくて、どっか出かけよう?」
「……どっか?」
「うん。行きたい所無い?」
そう問いかけると、ポカンとした。
だけどすぐにパァっと表情が明るくなった。
「……どこでも、いいんですか?」
「え、うん。…あまりに遠い所は厳しいけど」
「……クレーンゲーム、やってみたい」
そう答える彼女の表情は活き活きとしていた。
「ゲームセンター行きたいの?」
「……うん」
「まあいいけど。ちょっと意外だなー」
1人で行くのは不安って所かな。
てっきり、少し遠いけど行ってみたいカフェとか、そういう比較的静かな所を言われると思っていたんだけど。
「じゃあ、来週は最寄り駅集合で!
学校より近いはずだから」
彼女は頷いた。
その後はすぐにバイバイした。
週明け、昼休みに5人で昼食を食べていると。
「で、紀乃ちゃんとはどうだったの?」
と、紘尚が聞いてくる。
「あ、もう名前まで共通認識なんだ」
「そりゃもう」
まあいいけど。



