「咲季、帰ろう」



嬉しそうな顔で言われては拒否出来なかった。



いつものバイト帰り。

いつもと違うのは、一人で帰るのではなく相沢くんと一緒に帰る事だ。


「なんか腹減ったからビッグマックでも買うかな〜」



当然のように自宅近くのマックにまで来るようだ。



「あ、相沢くん、そこまで付き合ってくれなくても……」

流石に家まで送ってもらうのは申し訳なくて拒否ろうとするが言葉途中で相沢くんに抱きしめられた。



「俺が勝手に咲季のストーカーするだけだよ」



店の裏手の従業員用の駐輪場だから人気が無いとはいえ、外で相沢くんに抱きしめられて思わず俯く。



「あ、相沢くんはストーカーなんかじゃないよ」



「……じゃあ俺は咲季の何?」



抱きしめていた片手が私の頬に触れる。



「……………彼氏」



聞こえるか聞こえないかわからないくらいの小さな声で呟いた。



「うん。すっげー嬉しい」



相沢くんの手が私を上向かせると、相沢くんの破顔した表情が暗闇でもはっきりわかった。



「相沢くんが好き」



自然と言葉が口から漏れた。



その言葉を噛みしめるかのように唇が重なった。