君がいたから 陽翔、結菜side


「…効果があるかは、抗がん剤を投与して
しばらくしないとわからない…
人によっては全く効かない場合もある 」


残酷な言葉が突きつけられる。
蓮先生も陽翔も嘘なんてつけないよね…

でも、先がどうなるのか見えないのに、結愛は辛い治療に耐えないといけないなんて…

かわいそうでなんて声をかけたら良いのかわからなかった


治療すれば副作用でご飯も食べられなくなる。毎日吐いてばかりで、熱も出て苦しくて
まるで生き地獄のような日々が続く。

もう16年も前のことなのに、辛かったことが、すぐに思い出せる。


結愛にそんな辛い思いしてほしくないに決まっている


だけど、『やらなくて良い』なんて言えない。
やらなかったらどんどん進行して、結愛がすごく苦しい思いをして死んじゃうもん。


ギリギリで涙は堪えているけど、
ブルブルと唇が震えてきた。


自分の顔色が悪いのがわかっているから、結愛に顔を見せることもできない。

でも、そんな私とは反対に蓮先生は
結愛のことを真っ直ぐに見つめてくれる。


そして、結愛のことを抱きしめてくれた。