見つめ合う、の基準はどれほどのものか。時間にして、という意味内容で。

そこに明確な定義はないにしても、否定も可能な程度の時間の後には、彼らは邪魔にならない隅によけていた。

ここは地下道。
こちらの駅には直結のデパートがあり、乗り換え用の通路なのかデパートの一部なのか、誰も考えはしないであろう店舗の続々並ぶ道だった。

 コートに身を包み行き過ぎる人々は、それぞれその手に袋を提げて、隣を歩くお連れ様と笑顔の会話を交わしている。

お連れ様。家族や恋人。

老若男女が楽しげに、途切れないクリスマスソングを背景に、賑わいまでもがあたたかい。

それを丸ごと背中に背負い、彼女の方が、まず発言。


「うわー、先生。こんなところでばったりなんて、夢のような偶然ですね。運命? 運命かも。運命かな。うわー」