常日頃抱いている妄想よりはかなり地味にしても、充分にドラマティック、願ってもいない展開に夢見心地の雪野ちゃん、は数分後、有名洋菓子店の客の列に並んでいた。 右の手には、パウダーブルーのカードが握られている。 瀬戸はそれをサイフから出し、雪野に渡したのだ。さっき。 そして、 「もらっておいてくれ」 言い残して消えた。 「えー……」 人混みにのまれていく黒いコートに、雪野は声をかけられなかった。 咄嗟に思いつかなかったのもあり、施されてきた絶対服従の弟子ルールのためもあり。