「じゃあね勝」
「呼び捨てにすんなよ」
「いいじゃん、あたしら、仲良しなんだから。あたしの事は杏子でいいよ。アンちゃんはもう嫌なんでしょ?」
私はそのまま部屋を出た
いつもとは少し違う、
ほんの少しだけだったけど、
刺激的な1日だったかもしれない
富永勝との再会
昔のことも、色々思い出したし
それに、男同士の殴り合いの喧嘩も見れた

「杏子!どこ行ってたのよ!授業サボるなんて、珍しいじゃん」
「まあね。昔の友達と会ってたの」
「男?」
「麻里子はすぐそれだね」
「あー!図星か!で、何してたの?」
「言っておくけど、友達だから。男だけど男としてみてないから。ただの友達。男女とか関係なく。て言うか、幼馴染。だから麻里子が期待してるような話は全くないの」
「つまんないの」
慣れないよね、どれだけ経っても
退屈には、慣れない
私は席に座り、富永にメールをした
登録しておいてね 杏子
たった、それだけのメール
最後にハートマークをつけておいたけど
とても、
そっけない内容だった
送信ボタンを押して、
携帯をポケットに押し込んだ
ああ、気だるいな、と、突発的に思った
私はいつもそう
いつだって、常に気だるい
「由美ちゃん、次、何?」
前の席でメールを打っていた由美に声をかける
「体育。着替えて体育館集合だって」
「ありがと」
今日はサボろう
気分が乗らない
私達はいつだって、気分で動いている
大人になれば、そうはいかない
仕事を気分で休んだり
やらなければならないことを、
気分ですっぽかしてみたり
そんなことは絶対に許されない
だから、せめて今の時期だけでも
気分で動かせて
自分の思い通りに、わがままに、
自己中心的に
だって、それは今だけの、
一瞬の休みだから
人生において、ほんの少しの
充電期間だから