3人の男子は先生に連れられて
おそらく、職員室でお説教を受けるのだろう
4階上の教室で、まさか、
自分達が賭けの対象になっているだなんて
全く知らずに
「ねえ、負けた方の2人は誰?」
「たぶん1組の相馬と4組の富永」
「4組の富永って、富永勝?」
「そうだけど、知り合い?」
「なんとなく、名前、聞いたことあっただけ」
「ふーん。もしかして、初恋の相手だったり!?」
「馬鹿」
私は麻里子から視線をはずし、
窓の外へ目をやった
教師も、生徒も、馬鹿ばっか
だって、退屈なんだもん
馬鹿やってないと、退屈すぎて、
自分の存在さえ危ぶまれてくるんだもん
私はもう職員室、
もしくは
生徒指導室につれていかれたであろう
小林と、相馬と、富永のことを考えていた
今頃、つんとした顔で、そっぽを向いて
うるさいな、とか
だりいな、とか
そんなことを思いながら、
かっこわるい自分を必死に
否定してるんだろうな
殴られた傷に触れて、
いって、とか言って
喧嘩したあと独特の雰囲気に包まれて
男だらけの中で
先生のうるさいお説教を
さらりと受け流して
どこまでも不良気取ってるんだろうな