ドアを開けると、みんなはもうお弁当を食べていた
「あー!杏子!どこ行ってたの?」
麻里子は声が大きい
「屋上居たら、気持ちよくて。寝てた」
「寝てた!?屋上で?誰と?」
「誰って…友達?」
「なんで疑問系?」
私は少し笑って、その質問を軽く交わした
そして麻里子の隣に座った
私は私を含めて
6人居るグループに所属している
うちのクラスには4つのグループがあり
私や麻里子が居るグループ、
ギャル系や少し派手な子達が集うグループ、
大人しいグループ、
そして、どのグループにも
入ろうとせずいつも1人で居る人が数名
「屋上で寝てたって、地べたに寝転んでたの?」
色白で顔もかわいくて、
男子に人気がある、萩原愛理
「うんまあね」
「屋上で寝るとか猫じゃん!」
桃井綾香は中学校の頃からの友達だ
「杏子は猫並みにマイペースだけどね」
森彩夏は特別美人だ
少し芸能界に足を踏み入れているらしいが
CMや、ドラマなど、
そんなことはしておらず
グラビア雑誌に少し載っていたり、
夜中のアイドル番組に出ていたり
まだまだマイナーな
アイドルをしている
「ねえ、早くお弁当食べて、バレーしない!?」
桜井恵理は元気な優等生
得意科目は体育、好きな科目も体育
そしてテニス部に所属している
運動がとても好きな、明るくて活発な子だ
「いいね!バレー!やろやろ!」
私はこの中で、どんな存在で
どんな役割を果たしているのだろうか
そんなこと、知りもしないし、
聞こうとも思わないが
本当に私は
みんなにとって必要な存在なのか
この世の中で、誰か、
1人にでも必要とされているのか
そんな、
思春期みたいな悩みとまで言わないけど
小さな疑問を、常日ごろ抱いているのだ
「杏子もやるでしょ!?」
「あ、うん。やるやる」
学生って、ほかにあまり考えることがないから
そんなどうでもいいことが気になってしまう
私の存在理由は何?
私に価値はあるの?
ねえ、私、こんな詰まらない人生で、いいのかな