「杏子は、この時間、確か体育だよね?」
先輩、いや、私の彼氏は
思い出したかのように
話し始めた
「え、あ…はい」
「そっか。サボりか。この前もサボってたもんね。杏子は運動苦手?」
「まあ…」
「あ。何で知ってるんだ、って思った?」
「ああ…はい。すみません」
「いいよいいよ。それはね、僕がずっと君を見てたからだよ」
「は…?」
それってストーカーじゃん
一瞬、背筋に電流が走った
「好きだからね」
笑うしかなかった
これはもう、お断りだな…
せっかく退屈しのぎになるかと思ったのに
私は小さくため息をついた
ストーカー行為さえ、
笑顔でさらりと言えてしまえたら
それは犯罪じゃなくなるような
気がして、
何故か少し恐怖を覚えた