周りを見れば、
同じ制服を着て
同じような髪型をして
同じようなメイクをして
個性もない人間達が、
何十人と集まっている
私はその中の一人
ただの、女子高生
何処にでもいる、ただの普通の
女子高生
これからもたぶん、ずっと、何処にでも居る普通の人間
ドラマみたいな恋がしたいとか
映画みたいな事件に巻き込まれてみたいとか
時には、誘拐されてみたいだとか
奇跡を起こしたい、とか
そんな、
物語みたいな話を、ずっと、ずっと、
待ち望んでいた
もしも私が魔法使いなら、とか
想像を膨らますだけじゃ満足出来なくなっていた
だって、私の住む現実世界は
魔法とか、宇宙とか、超能力とか
そんな、素敵なお話とは、程遠い世界だから

「守山杏子」
「はい」
先生に名前を呼ばれて、我に返った
いつものことだから、何も考えずに返事をしていた
次々と呼ばれてゆくクラスメイトの名前
今日もまた、つまらない1日が始まる
何も変わったことの起きない、
退屈で、楽しくない、1日が
「杏子、知ってる?近々、転校生来るんだって」
先生の目を気にしながら、隣の席の、青山麻里子が
私に話しかけてきた
「そうなの?どんな子?」
「聞いた話によると、超かっこいい男子だって!」
「いつ転校してくるの?」
「分かんないけど、近々!」
「へー…私も久しぶりに、恋でもしてみようかな」
「えー!ずるい!私も好きになっちゃうかも!」
「何言ってんの。麻里子には超かっこよくはないけど、彼氏居るじゃん」
「まあね」
得意げな顔をして、麻里子は姿勢を整え
手紙を書き始めた
退屈
みんな、同じ
1の話題で、10盛り上がる
そうでもしてないと、私達、退屈で死んじゃう
全然詰まらない話で、大爆笑してみたり
特に好きでもない相手と、お試しで付き合ってみたり
興味のない部活に入っては、すぐやめたり
かっこいい先輩の試合を応援しに行ったり
学校帰りにクレープ食べたり
全部、ただの暇つぶし
学生なんて、そんなもんでしょ?
何か、こう、度肝を抜かれるような
ドーンと大きな事件、おきてくれないかな?