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「入学式ですわーーー!!!!」
「お嬢さま、こういう場ではお静かに」

衝撃の合格&入学から数週間。 アナベルは無事入学式に出席していた!

「ちょっと執事うるさいですわ!!」
「お嬢さまの方がうるさいです」

ちなみに事前に校長を買収し、執事も一緒に入学させていた! 世の中金である!!

「というか、なぜ私まで入学しているんですか?」
「は!? あなたまさかソレを私に言わせるつもりですの!?」
「そうですけど」
「そっ……そっそれは……ですわね……」

さっきまで怒鳴り散らかしていたのが嘘のようにモゴモゴと口ごもるアナベル。
頬を桃色に染め、うるんだ目を伏せて髪をくるくるといじるその姿はまさに思春期。

そう、アナベル・シャミナードはお年頃であり――

――つまり、そういうことなのだ!!

「……あ……あなたといるとなんかその……」
「その?」
「……んんんんんなにかとなんか良い感じだからですわーーー!!!!」
「要領を得ないしうるさい!!」

けっきょくいつものように力押しで照れ隠してしまうアナベル。
その想いが執事に届くことはあるのだろうか!?

「お嬢さまはお嬢様とはいえ、ある程度自分のことは自分でやる癖をつけておかないと将来困りますよ」
「うっうるせーですわ!!」
「言葉遣いが全然お嬢様じゃない……」

敬愛すべきお嬢さまの動揺に気づいているのかいないのか、これまたいつものように呆れ顔で応じる執事。

だが――しかし!

ほんの一瞬、アナベルが目を離した瞬間――わずか一秒にも満たないタイミングではあったが――

執事の口許には、かすかな微笑が刻まれていた!


こうして、とある主従のある種のイチャイチャを横目に、入学式は続くのであった!!