静かになったスマホに、ほっと胸をなでおろしたけれど、ざわざわした気持ちは元には戻らなかった。
せっかく切り替えようとしたのに……
ついさっきまで持ち直しかけてた気分が、また乱れてしまった。
「……あーもう!」
一声、大きな声でむしゃくしゃした気持ちを発散して、冷蔵庫を開けた香耶は、奥の方にしまっていた缶チューハイのプルタブを上げ、ぐっとあおる。
誰かとの約束がない限り、日曜は飲まないと決めていたけれど、今日はもう、どうしようもない。
ごくごく、と、半分ほどを飲み干して、タン!と勢いよくテーブルに置くと、少しは気分が落ち着いたきがした。
けれど、目の前の台には、さっきまで震えていたスマホ。
ブロックした相手からの着信はもうないけれど、見ているだけで、気分が悪くなる。
香耶は目を怒らせ、仁王像のように立ち上がると、静かになったスマホを持って、寝室の充電ケーブルに繋ぐことにした。
「……よし、これでいい」
明日飲みに行っても1杯だけ、と思っていたけれど、3杯まではいいことにしよう。
パタン、と寝室のドアを閉めて、香耶は残りの缶チューハイをゆっくり味わって飲むことにした。



