「……プラッター?」
「うん、シーフードプラッター……ああ、そうか」
当然のように答えたルカは、?マークを浮かべる香耶に気づくと、ちょっと考えるように視線をずらし、軽く顎に手を当てた。
滑らかな顎のライン。
伏し目がちにされたまつ毛は長く、外国人にありがちな顔中を覆うような髭もない。
本当に、キレイな人……
静止したルカの彫刻めいた美しさに見とれていると、その美しさを崩すように軽く眉をしかめたルカが壁から香耶へと視線を戻した。
「日本で似た料理があるか思い出そうとしたんだけど、記憶になくて……オーストラリアの料理なのかな」
「……うん、聞いたことない」
「こう、シーフードがいろいろ盛られてる料理なんだけど……良かったら、それを食べてみない?」
「うん、いいよ」
メニューの端から端まで説明してもらうのも気が引けるので、香耶がすぐに頷くと、手を挙げて見せ、あ、と思い出したように香耶を見た。
「アレルギーはある?オイスターは大丈夫?」
オイスター、と言われて、香耶の頭に浮かんだのは、中華料理などに使われる、あの黒いソース。
牡蠣、と、すぐに変換できたのは、料理上手な母のおかげだ。
帰ったら、感謝せねば。



