そりゃ、コドモだって、言われちゃうよね……
苦笑した香耶は、大人しく手をひかれてルカの半歩後をついていく。
昼間の観光で見た風景の中には、必ずどこかに手をつないでいる人達がいた。
老いも、若きも、男も、女も。
同性同士だって、手をつないだり、かなり近い距離で話をしたり……
最初は胸が痛んだり、ぎょっとしていたそんな光景も、10を超えたあたりで、何も感じなくなっていた。
本当に、慣れというのはすごい。
それとも、これは”麻痺”と言うべきか……
どちらにせよ、そんな経験をかさねて香耶が思ったのは、外国人って本当にスキンシップが多いんだな、ということ。
きっと、友達や家族とも手をつなぐくらいのことはするんだろう。
……それを確かめる術はないけれど。
今のこの状態も、きっと深い意味なんてない。
そう結論づけて赤らんだ頬を押さえた香耶は、今度こそはぐれないようにとルカの背中を見つめて歩く。
行き交う人達は、背の高い外国人ばかり。
だから、香耶は前を向いて歩くルカの顔を見ることはなかった。
その白い顔に浮かんだ、はにかむような笑みも。
最後まで、香耶の目に入ることはなかった。



