「!!」
あまりの驚きに、声も出せずに固まる香耶。
それを見たルカはいたずらっ子の顔で香耶を見下ろし、手を引いて歩き出す。
「さっきみたいに、はぐれないようにね」
そう言われて、香耶が顔を赤らめたのは、迷子の子供みたいな自分に対する羞恥から。
大きな公園と、動物園にお土産物屋さん。
案内してもらった場所は、それほど人でぎゅうぎゅうの混雑ではなかったけれど、ここは日本人とは体格差のある人々が多く集まっている場所。
すごい!と気を取られた隙に観光客が入り込めば、見上げるほどの高さの人の壁に遮られ、あわあわとルカを探すということが、すでに3回も行われていた。
くすくす笑われていたことを思い出すと、今でも顔が熱くなる。
「この先にシーフードの美味しい店があるんだけど、この時期は人が多いからね」
さらりと言われて、ああ、そうか、と香耶は納得のため息をついた。
年齢はずっと上だと知られたけれど、会ってからずっと世話されているのは香耶の方で。
動物園で大きな蛇のオレンジ色の模様に見入った後、しばらくルカを探して歩いた時の心細さと言ったら……本当に泣いてしまいそうなほどだった。
迷子予防の対策。
つまりは、そういうことなんだろう。



