ウルルであなたとシャンパンを


大学出たての男の子に何がわかるのよ?とか、フラれたことなんてないでしょ~とか。

ひねた考えも浮かんだけれど、真摯な目でこちらを見つめるルカが、まるで別人の、年上の男性のようで……

なんだか、通じ合えた、気がした。


そうして落とした視線と一緒に訪れた沈黙も、思わずもじもじしちゃうような、気まずい感じはない。

こんな安心感に包まれたのは、オーストラリアに来てから初めてのことだった。

さっきまでのドキドキとはなんだか違う、不思議な気持ち。

夏の暑さと照りつける太陽の中でも冷えていた心が溶けていくような、あったかい感じ。


勘違いかもしれないけど。

一緒にいる間だけでも、気持ちが通じ合ったって……思っているだけならいいよね。


「じゃあまずは、観光スポットからかな」

そんな声に顔を上げると、こちらを見つめていたルカは、打って変わったかのように、また無邪気な少年の顔で微笑んだ。