「それじゃ、次はどこに行く?」
「どこって言われても……何があるかわからないんだもの。おすすめの場所を教えてよ」
口に入れた、甘酸っぱいフルーツとサクッとしたナッツ入りの生地をかみ砕くと、優しい味のカスタードクリームがほどけて広がる。
その絶妙な味のバランスを楽しんでいると、ルカが何も言わず、こちらをじっと見つめているのに気づいた。
その顔にあるのは、頭の横に、?マークが見えるような、怪訝な表情で。
「……なに?」
だからもう、そんな風に見つめられると、恥ずかしいんだってば……
「カヤは、さ……どうしてここに来たの?」
「どうしてって……?」
それに、ここってどこのことよ?
今この状況のこと?
オペラハウスに??
言葉には出さない問いは、顔にしっかり出ていたらしい。
ルカはすぐに、言い方を変えて質問をし直す。
「言葉もわからない、ここに……オーストラリアに友達とか、家族がいるわけでもないんだよね?」
「……まあ、そうね」
「それじゃ、どうしてオーストラリアに行こうと思ったの?」



