会った時から感じていたことだけれど、彼の日本語はほとんど日本人と同じで、時々混ざる不思議なイントネーション以外は何も気になる所がないキレイな標準語だった。

「本当?よかった」
「うん、日本語上手で……だよね」

何の気なしに言った言葉に、きょとん、とした後。

ルカさんは、あははと笑った。

「ミックスだからね」
「……ミックス?」

今後は香耶が聞き返すと、ルカさんは、うーん、と考えるように腕を組んだ。

「ミックスって何ていうんだっけ……混血?」
「コンケツ?」
「……違ったかな……あー、僕の父親はイギリス系オーストラリアンで、母親の母親が日本人なんだよ」
「あ、そういう……コンケツって、混血ね!」

ちょっと回り道をしてしまったけれど、ひとつ理解できた嬉しさに手を叩くと、ルカさんも安心したような笑顔を見せた。


ああもう、わかったから。

さっきからドキドキしちゃって、こんなの、心臓に悪いんだから、そんな笑顔を向けないで欲しい。

緊張は消えてきたとはいえ、こんな美形に笑いかけられて、平気でいられるわけがないのだから。