夜は更にふけていき、俺は火花を舞い散らす焚き火をボーッと見つめていた。
夜風が吹いている。
最初に口を開いたのは、シャルだった。
「なんでレスターを殺そうとしたの?」
俺は視線を炎から離さず呟く。
「お前には分からないよ」
「......だろうね、君がレスターを殺そうとした意味なんてわかんないよ」
「.......」
木々の合間を風が吹き抜け、小さな葉や枝が飛び回っている。
炎は揺れ、今にも消えそうだ。
「シュウ、何か言ってよ」
俺は口を閉じ答えない。
彼女は立ち上がり俺の元へ歩み寄ってくる。
それでも俺は視線を微動だにしない。
ただひたすらに、俺は燃え上がる炎を見ていた。
「シュウ」
膝を付けたシャルは俺に語り掛けるように言う。
俺は視線を上げ、彼女の顔を正面から見据える。
驚いていることだろう。
焚き火に照らされた俺の顔は無気質で、虚ろなその目はシャルに向けられている。
「.......戦闘中毒?」
シャルは俺の絶望した表情を見て何かを呟いた。
そこからは静かな空間が広がっていた。
それから俺とシャルは一言も言葉を交わさなかった。
俺は焚き火をジッと見つめている。
そんな中、俺はある決意をする。
「おやすみ」
シャルはそう呟き集めた木の葉の上に横たわる。
しばらくすると、寝息が聞こえ始めた。
念の為シャルが寝てから数十分ほど立ったあと、俺はゆっくりと腰をあげる。
戦闘時に投げ捨てた魔剣へ手を伸ばし、それを鞘に仕舞う。
自分の持ち物を手当り次第にインベントリーへとしまう。
「.......これでよし」
そう呟き、俺は2人には目もくれず森の奥へと向かった。
あの時、俺は自分の意思でレスターを殺そうとした。
寝ているレスターを自らの意思で殺そうとしたのだ。
大切な友人でありながら苦難をこれから共にする一蓮托生の親友、そんな彼を殺してしまおうと考えたのだ。
もしかしたらまた俺は親しい人を殺そうとしてしまうかもしれない。
俺はそんな自分が怖い。
だから俺は自分を自分自身から守るため2人から離れた。
2人から離れたあと、何をするのか。
その答えを俺は持っていた。
レベル上げだ。
このゲームをクリアするにも、強さがいる。
ここ、ブレード&マジックでは魔物を倒すことで経験値が溜まる。
そして一定の数値を超えると、集まった経験値がステータスを上昇させる。
それがレベルアップだ。
案の定、森に入りすぐ魔物と遭遇する。
フォレストウルフだ。
フォレストウルフは通常の場合、数匹から数十匹からなる群れで行動している事が多い。
一匹一匹はさほど強くはないが、群れとなると厄介だ。
連携されるとソロでは討伐しにくい。
奴らも俺の気配を感知したらしい、油断なく警戒している。
多いな、全部で30匹近くか?
俺は魔剣ティルフィングを勢いよく抜き放った。
魔剣をウルフ達に向ける。
その時、奴らは一斉に俺に向かってきた。
フォレストウルフの爪や牙が光る。
まだだ。まだ......まだ.......ここ!
タイミングを見計らい、俺は魔剣を振るう。
「スキル【薙ぎ払い】!」
俺に飛びかかってきていた数匹のフォレストウルフが血を流し吹き飛ばされる。
警戒したフォレストウルフは俺から一定の距離を保っている。
包囲されればレベルが低い俺では終わりだ。
俺は魔剣を握りしめ、敵の群れに突撃した。
魔剣を振り回し、切り裂き、叩きつける。
血しぶきが上がり、周辺の木々は鮮血で染まる。
数分が経った。
周囲にはたくさんの血塗れな狼の死体。
俺は自分の体力ゲージを確認した。
「残り四分の一程度か....」
魔剣を振り、血糊を落とす。
魔剣を鞘にしまい腰に指す。
メニューを開き、俺はレベルをチェックする。
そこにあったのは2 という数字と、ステータスだ。
LV.2
HP: 22/200
MP: 0
ST: 16/300
[+100]
俺は慣れた手つきでステータスを振り分けていく。
このブレード&マジックではレベルアップ事に全てのステータスに+100される。
本来であれば俺のこの作業は必要ない筈なのである。
俺がステータスを割り振らなければならない理由は俺のジョブにある。
俺のジョブは魔剣使い。このブレード&マジック内の最初の公式バトルロワイヤル大会の優勝商品として授与されたゲーム内に一人しかいない特殊ジョブだ。
このジョブの特徴としては魔法が使えない事だ。
魔力がどんなにレベルを上げても0から変わらないのだ。
もうここまで言えば分かるだろう。
俺のステータスは魔力が上昇出来ないため、その分の加算が体力、またはスタミナへと回せるのである。
この能力はかなりのアドバンテージとなる。
LV.2
HP: 72/250
MP: 0
ST: 66/350
俺はステータスを割り振った。
メニュー画面へと戻り、マップを開く。
少しの間考え込み、決断する。
「このままここ、[森林フィールド]のフィールドボスを討伐し、討伐報酬を受け取るのが妥当か。ならこのままレベル上げを続け、フィールドボスとソロで殺り合えるだけの力を身につけなきゃな......」
俺の口角がほんの少し上がっている。
夜の生暖かい風が肌を撫でる。
俺は小声で呟いた。
声が上ずる。
「楽しみだ......」
俺は森林の奥を目指し、足を踏み出した。
夜風が吹いている。
最初に口を開いたのは、シャルだった。
「なんでレスターを殺そうとしたの?」
俺は視線を炎から離さず呟く。
「お前には分からないよ」
「......だろうね、君がレスターを殺そうとした意味なんてわかんないよ」
「.......」
木々の合間を風が吹き抜け、小さな葉や枝が飛び回っている。
炎は揺れ、今にも消えそうだ。
「シュウ、何か言ってよ」
俺は口を閉じ答えない。
彼女は立ち上がり俺の元へ歩み寄ってくる。
それでも俺は視線を微動だにしない。
ただひたすらに、俺は燃え上がる炎を見ていた。
「シュウ」
膝を付けたシャルは俺に語り掛けるように言う。
俺は視線を上げ、彼女の顔を正面から見据える。
驚いていることだろう。
焚き火に照らされた俺の顔は無気質で、虚ろなその目はシャルに向けられている。
「.......戦闘中毒?」
シャルは俺の絶望した表情を見て何かを呟いた。
そこからは静かな空間が広がっていた。
それから俺とシャルは一言も言葉を交わさなかった。
俺は焚き火をジッと見つめている。
そんな中、俺はある決意をする。
「おやすみ」
シャルはそう呟き集めた木の葉の上に横たわる。
しばらくすると、寝息が聞こえ始めた。
念の為シャルが寝てから数十分ほど立ったあと、俺はゆっくりと腰をあげる。
戦闘時に投げ捨てた魔剣へ手を伸ばし、それを鞘に仕舞う。
自分の持ち物を手当り次第にインベントリーへとしまう。
「.......これでよし」
そう呟き、俺は2人には目もくれず森の奥へと向かった。
あの時、俺は自分の意思でレスターを殺そうとした。
寝ているレスターを自らの意思で殺そうとしたのだ。
大切な友人でありながら苦難をこれから共にする一蓮托生の親友、そんな彼を殺してしまおうと考えたのだ。
もしかしたらまた俺は親しい人を殺そうとしてしまうかもしれない。
俺はそんな自分が怖い。
だから俺は自分を自分自身から守るため2人から離れた。
2人から離れたあと、何をするのか。
その答えを俺は持っていた。
レベル上げだ。
このゲームをクリアするにも、強さがいる。
ここ、ブレード&マジックでは魔物を倒すことで経験値が溜まる。
そして一定の数値を超えると、集まった経験値がステータスを上昇させる。
それがレベルアップだ。
案の定、森に入りすぐ魔物と遭遇する。
フォレストウルフだ。
フォレストウルフは通常の場合、数匹から数十匹からなる群れで行動している事が多い。
一匹一匹はさほど強くはないが、群れとなると厄介だ。
連携されるとソロでは討伐しにくい。
奴らも俺の気配を感知したらしい、油断なく警戒している。
多いな、全部で30匹近くか?
俺は魔剣ティルフィングを勢いよく抜き放った。
魔剣をウルフ達に向ける。
その時、奴らは一斉に俺に向かってきた。
フォレストウルフの爪や牙が光る。
まだだ。まだ......まだ.......ここ!
タイミングを見計らい、俺は魔剣を振るう。
「スキル【薙ぎ払い】!」
俺に飛びかかってきていた数匹のフォレストウルフが血を流し吹き飛ばされる。
警戒したフォレストウルフは俺から一定の距離を保っている。
包囲されればレベルが低い俺では終わりだ。
俺は魔剣を握りしめ、敵の群れに突撃した。
魔剣を振り回し、切り裂き、叩きつける。
血しぶきが上がり、周辺の木々は鮮血で染まる。
数分が経った。
周囲にはたくさんの血塗れな狼の死体。
俺は自分の体力ゲージを確認した。
「残り四分の一程度か....」
魔剣を振り、血糊を落とす。
魔剣を鞘にしまい腰に指す。
メニューを開き、俺はレベルをチェックする。
そこにあったのは2 という数字と、ステータスだ。
LV.2
HP: 22/200
MP: 0
ST: 16/300
[+100]
俺は慣れた手つきでステータスを振り分けていく。
このブレード&マジックではレベルアップ事に全てのステータスに+100される。
本来であれば俺のこの作業は必要ない筈なのである。
俺がステータスを割り振らなければならない理由は俺のジョブにある。
俺のジョブは魔剣使い。このブレード&マジック内の最初の公式バトルロワイヤル大会の優勝商品として授与されたゲーム内に一人しかいない特殊ジョブだ。
このジョブの特徴としては魔法が使えない事だ。
魔力がどんなにレベルを上げても0から変わらないのだ。
もうここまで言えば分かるだろう。
俺のステータスは魔力が上昇出来ないため、その分の加算が体力、またはスタミナへと回せるのである。
この能力はかなりのアドバンテージとなる。
LV.2
HP: 72/250
MP: 0
ST: 66/350
俺はステータスを割り振った。
メニュー画面へと戻り、マップを開く。
少しの間考え込み、決断する。
「このままここ、[森林フィールド]のフィールドボスを討伐し、討伐報酬を受け取るのが妥当か。ならこのままレベル上げを続け、フィールドボスとソロで殺り合えるだけの力を身につけなきゃな......」
俺の口角がほんの少し上がっている。
夜の生暖かい風が肌を撫でる。
俺は小声で呟いた。
声が上ずる。
「楽しみだ......」
俺は森林の奥を目指し、足を踏み出した。
