......お前は一体誰なんだ?
静寂。
(俺はお前だよ、四葉柊。お前の中に棲むお前の事を最も理解している『もう一人』のお前だ)
もう一人の俺?
俺......自身?
(その絶望をしっかり味わえ。そして何をするべきなのか。それをじっくり考えろ)
その言葉は俺の耳をスっと通り抜ける。
そこで俺の意識は途切れた。
──────────
俺は目を覚ます。
空は綺麗なオレンジ色に染まっている。
体が異様に重い。
俺は無理して体を起こす。
朦朧とした意識の中周囲を見渡す。
(確かここは第1エリアの森林区間にある大きな木......)
その時、俺の頭の中に俺の声が響く。
───その絶望をしっかり味わえ。そして何をするべきなのか。それをじっくり考えろ────
「あ、あぁぁぁああ」
俺は唸り声を上げて顔を爪で引っ掻き回す。
爪が顔に切り傷を付ける。
顔から血が滲み出てきた。
血を見ても俺は止まらなかった。
このデスゲームは俺が始めた。
その事実は俺の心臓を鷲掴みにして離さない。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
この世の全てが怖い。
俺は魔剣を鞘から抜き放つ。
自分の首元に当て、力を込める。
(死ねば全て楽になる。リセットしよう。この世から消えて新しい恵まれた人生を始めよう)
......でも魔剣はいくら力を入れようとピクリとも動かなかった。
俺は絶望する。
(俺は自分を殺す事も出来ない軟弱者なのか。いや、違う。違う!)
俺はさらに力を込める。
額から汗が吹き出し、手は大きく震えている。
それでも魔剣は徐々に震えながら首元に入っていった。
その時、魔剣の刃がついに少しだが斬ったのか、首元に鋭い痛みが走る。
「う、うわぁぁあぁ!」
俺は叫び出しほんの少し血のりが着いた魔剣を投げ捨てた。
俺は地面に蹲る。
ドクドクドクドクドク
心臓の音が耳の奥で鳴り響く。
呼吸が荒い。
そしてなにより、俺の目からは涙が零れ落ちてきていた。
(俺は殺せなかった。俺はほんの少し痛かっただけで......)
自殺して逃げる勇気もない。
俺はあの時おかしかった。
俺は近くで無防備に寝ているレスターの様子を伺う。
スヤスヤと寝息を立てながら平和そうに眠っている。
その寝顔に俺はありえもしないある事を思いつく。
(俺以外の全プレイヤーを3回殺せば俺は元の平和な生活に戻れるのではないか?)
それは馬鹿げている。
俺もそれはよく分かっていた。
それでも、自分の不甲斐なさに打ち拉がれていた俺の精神をその考えはゆっくりと確実にかつ簡単に蝕んでいった。
俺は放り捨てた魔剣を手にする。
震えていたはずの手は今やしっかりと力強く魔剣を握っている。
「イヒッ」
そんな笑い声が口から漏れる。
俺は一歩ずつ彼に近づいていった。
(そいつを殺せ!今殺せば誰も気づかない)
俺はフラフラと近づいていく。
一歩踏み出す事に近づいてくる彼の寝顔を俺は虚ろな表情で見つめる。
こいつを殺せば......こいつを殺せば......
俺は友を殺すことに疑問も、何の躊躇いも持たなかった。
生きているもの全て殺せ。
もう一人の俺は俺にそう囁いている。
いつの間にか俺は彼の横に立っていた。
発達した筋肉に覆われた健康そうな体。
優しそうなイメージを与える顔。
俺はそんな彼を虚ろな目で見つめる。
最後の挨拶をしていた。
(じゃあな、レスター)
「イヒッ」
俺の口から漏れた微かな笑い声と共に俺の剣は振り上げられる。
コレで終わりだ。
「シュウ!!」
甲高い叫び声の後、金属と金属が激しくぶつかり合う。
「シュウ、あなた一体何をしようとしたの?」
「別にお前には関係ないだろ?シャル」
俺の魔剣がシャルの大鎌をはじき返す。
二人の間に距離が出来る。
「なんでレスターを殺そうとしたの?」
「......」
俺とシャルは瞬きする間もなく武器を振るいぶつけ合う。
これは好都合だ。
こいつから先に殺してやる。
「シュウ!!」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
俺はその事しか考えられない。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
「シュウ、目を覚まして!」
突如シャルが大鎌を投げつけてきた。
俺は予想外の攻撃に反応が遅れる。
「クッ......!」
飛んできた大鎌を危ないところで魔剣で受けきる。
だが俺は大鎌のすぐ後ろから接近してきていた彼女の拳を捉えきれなかった。
俺の鳩尾を見事に抉っていく。
「グ、がはぁ」
口から血が滴り落ちる。
血の鉄の味が口の中に広がり嫌悪感を与えてくる。
俺はそれを吐き出した。
その時、俺は瞬時に危険を察知し攻撃を躱そうと身を倒した。
しかし、俺は躱しきれず足を蹴られ地面にうつ伏せに押し倒された。
「シュウ、あなたと私にはレベル差がある」
「今のあなたじゃ私には勝てない」
俺は彼女を見つめた。
そして両手を頭の上に上げた。
降伏のジェスチャーだ。
彼女はそれを見てにっこり微笑み、俺を離した。
俺は素直にシャルは今殺れない事に気づいていた。
俺とシャルにはレベル差がある。
例えそれが1レベルだけだとしても、その差は非常に大きい。
いつの間にか周りは暗くなり、夜の暗闇が訪れていた。
静寂。
(俺はお前だよ、四葉柊。お前の中に棲むお前の事を最も理解している『もう一人』のお前だ)
もう一人の俺?
俺......自身?
(その絶望をしっかり味わえ。そして何をするべきなのか。それをじっくり考えろ)
その言葉は俺の耳をスっと通り抜ける。
そこで俺の意識は途切れた。
──────────
俺は目を覚ます。
空は綺麗なオレンジ色に染まっている。
体が異様に重い。
俺は無理して体を起こす。
朦朧とした意識の中周囲を見渡す。
(確かここは第1エリアの森林区間にある大きな木......)
その時、俺の頭の中に俺の声が響く。
───その絶望をしっかり味わえ。そして何をするべきなのか。それをじっくり考えろ────
「あ、あぁぁぁああ」
俺は唸り声を上げて顔を爪で引っ掻き回す。
爪が顔に切り傷を付ける。
顔から血が滲み出てきた。
血を見ても俺は止まらなかった。
このデスゲームは俺が始めた。
その事実は俺の心臓を鷲掴みにして離さない。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
この世の全てが怖い。
俺は魔剣を鞘から抜き放つ。
自分の首元に当て、力を込める。
(死ねば全て楽になる。リセットしよう。この世から消えて新しい恵まれた人生を始めよう)
......でも魔剣はいくら力を入れようとピクリとも動かなかった。
俺は絶望する。
(俺は自分を殺す事も出来ない軟弱者なのか。いや、違う。違う!)
俺はさらに力を込める。
額から汗が吹き出し、手は大きく震えている。
それでも魔剣は徐々に震えながら首元に入っていった。
その時、魔剣の刃がついに少しだが斬ったのか、首元に鋭い痛みが走る。
「う、うわぁぁあぁ!」
俺は叫び出しほんの少し血のりが着いた魔剣を投げ捨てた。
俺は地面に蹲る。
ドクドクドクドクドク
心臓の音が耳の奥で鳴り響く。
呼吸が荒い。
そしてなにより、俺の目からは涙が零れ落ちてきていた。
(俺は殺せなかった。俺はほんの少し痛かっただけで......)
自殺して逃げる勇気もない。
俺はあの時おかしかった。
俺は近くで無防備に寝ているレスターの様子を伺う。
スヤスヤと寝息を立てながら平和そうに眠っている。
その寝顔に俺はありえもしないある事を思いつく。
(俺以外の全プレイヤーを3回殺せば俺は元の平和な生活に戻れるのではないか?)
それは馬鹿げている。
俺もそれはよく分かっていた。
それでも、自分の不甲斐なさに打ち拉がれていた俺の精神をその考えはゆっくりと確実にかつ簡単に蝕んでいった。
俺は放り捨てた魔剣を手にする。
震えていたはずの手は今やしっかりと力強く魔剣を握っている。
「イヒッ」
そんな笑い声が口から漏れる。
俺は一歩ずつ彼に近づいていった。
(そいつを殺せ!今殺せば誰も気づかない)
俺はフラフラと近づいていく。
一歩踏み出す事に近づいてくる彼の寝顔を俺は虚ろな表情で見つめる。
こいつを殺せば......こいつを殺せば......
俺は友を殺すことに疑問も、何の躊躇いも持たなかった。
生きているもの全て殺せ。
もう一人の俺は俺にそう囁いている。
いつの間にか俺は彼の横に立っていた。
発達した筋肉に覆われた健康そうな体。
優しそうなイメージを与える顔。
俺はそんな彼を虚ろな目で見つめる。
最後の挨拶をしていた。
(じゃあな、レスター)
「イヒッ」
俺の口から漏れた微かな笑い声と共に俺の剣は振り上げられる。
コレで終わりだ。
「シュウ!!」
甲高い叫び声の後、金属と金属が激しくぶつかり合う。
「シュウ、あなた一体何をしようとしたの?」
「別にお前には関係ないだろ?シャル」
俺の魔剣がシャルの大鎌をはじき返す。
二人の間に距離が出来る。
「なんでレスターを殺そうとしたの?」
「......」
俺とシャルは瞬きする間もなく武器を振るいぶつけ合う。
これは好都合だ。
こいつから先に殺してやる。
「シュウ!!」
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
俺はその事しか考えられない。
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す。
「シュウ、目を覚まして!」
突如シャルが大鎌を投げつけてきた。
俺は予想外の攻撃に反応が遅れる。
「クッ......!」
飛んできた大鎌を危ないところで魔剣で受けきる。
だが俺は大鎌のすぐ後ろから接近してきていた彼女の拳を捉えきれなかった。
俺の鳩尾を見事に抉っていく。
「グ、がはぁ」
口から血が滴り落ちる。
血の鉄の味が口の中に広がり嫌悪感を与えてくる。
俺はそれを吐き出した。
その時、俺は瞬時に危険を察知し攻撃を躱そうと身を倒した。
しかし、俺は躱しきれず足を蹴られ地面にうつ伏せに押し倒された。
「シュウ、あなたと私にはレベル差がある」
「今のあなたじゃ私には勝てない」
俺は彼女を見つめた。
そして両手を頭の上に上げた。
降伏のジェスチャーだ。
彼女はそれを見てにっこり微笑み、俺を離した。
俺は素直にシャルは今殺れない事に気づいていた。
俺とシャルにはレベル差がある。
例えそれが1レベルだけだとしても、その差は非常に大きい。
いつの間にか周りは暗くなり、夜の暗闇が訪れていた。
