『ヒムロス』にも迷惑をかけることになるとは思って反省はしたが、まさか社長まで連れてこいなんて。

いくらなんでもそれは。

「そんなのあんまりです!酷いっ!」

思わず本音が口をついて出た。

――あ。
しまったと思ったと同時にクックックという楽しそうな笑い声が執務室に響く。

「あ、いえ、あの」

なぜだか立ち上がった副社長は「まあいいから座れよ」と叶星の前に立ちはだかった。


そのはずみで椅子に崩れ落ちた叶星に、東堂副社長は上半身を被せるように背もたれに手を伸ばす。


「正直に言え」


――ヒィ!

目の前に来た東堂副社長の瞳が、ギラギラと光る。

「おい、野良ネコ、一体なにがあって、あんな態度を取ったんだ? え? 高慢な嘘つきとは誰のことだか言ってみろ」


――た、たすけてぇぇ。