東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

ずっと呼吸をする余裕もなかったのか、ゴクリと苦しげに喉が鳴った。

恐る恐る振り返ると、東堂副社長がジッと見ている。
――うっ!

「あ、あの、記事ができましたので、お、お持ちしました」

副社長の様子は、前回ここに来た時と変わらない。

「どうぞ、掛けて」
同じように落ち着いた声で、同じように促す。

叶星のほうは前回とは違って泣きたくなる思いで「はい」と答えた。

――またこの椅子に座ることになるとは。


敷き詰められた絨毯に吸い込まれていく足音が、一歩一歩と近づいてくるのを感じ、叶星はその度に自分が小さくなるような気がした。

いっそこのまま消えてしまえたら、どんなにいいだろうと思う。

副社長が先に腰を下ろすのを待って、叶星は抱えていたファイルを恭しくテーブルの上に置き、それから「失礼します」と、ソッと浅ーく腰を下ろし俯いた。

東堂副社長は無言でファイルを手に取る。