自分が変わった理由は、宝くじ。
――私は多分、お金が持つ力に狂わされている。
ハワイで家政婦つきの暮らしをして、ハイブランドの店でチヤホヤされたりして偉くなったような気持ちになっていたのだ。
お金を得ただけで、なにも進歩していないのに。
少しも立派なことはしていないのに。
東堂大毅はこんなに立派な大企業の副社長として、立場や権力に見合うだけの実績を上げている。
経済力だけ手に入れたちっぽけな自分とは大違いだ。
プライベートがどうあれ、職場に持ち込んでいい話じゃない。
――気をつけなきゃ……。
このままじゃ、ただ生意気なだけの女になっちゃう。
「はぁ」
エレベーターを降り、トボトボと叶星が向かったのは秘書室。
上半分はガラスなので、廊下からでも目的の副社長秘書の黒崎の姿が見えた。



