東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18


「あの男? もしかしてジュンくんのこと?」

「そう」と頷いた彼は、更に深く唇を重ねてくる。

やっと唇が離れた隙に、抗議した。
「やめて、なにもないのに」

「あったら困るだろ?」

クスクスと笑い合った。

――ありもしない未来にヤキモチをやく彼と、過ぎた過去に嫉妬する私?

なんだろう、幸せの裏返しみたいなこの悩み。

でも悩みには変わらないのだ。
こんなふうにキスをして一時は忘れても、心の中から完全にモヤモヤが消えるわけじゃない。
何かの拍子にゆっくりと鎌首をもたげてくる。
それは、ひとりで待つ夜だったり、出張で離れている時だったり、疑えばきりがないような状況の時に現れては困らせるのだろう。
それでも、もう離れることなんてできない。
だから。
お願い、どうか。彼の想いが永遠に変わりませんように。
泣きたくなるような想いを込めて叶星は彼の背中に腕を回す。

「好きよ」

――大好き。

愛しているわ、副社長。




*…*…*…*…*

『東堂副社長の、厳しすぎる初恋』 
*-おしまい-*