東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

彼女を探すでもなく家を出たことが気になっていた。なるほどそういうことかと納得する。

「叶星と結婚しようと思う」

「それで、シンガポールに?」

「ああ、親の了解を得ておけば先々スムーズだろう?」

「へえ、それはそれは。おめでとうございます」

「まだ叶星に言ってないぞ」
と笑う大毅のグラスにグラスを当てる。

「何を今さら」

そこまで周りを固めてられては、彼女ももう逃げられないだろう。
チーンと高い音が教会のベルのように響いた。

と、ちょうどその時だった。
店の扉が開いて、「あのぉ」と顔を出したのは、ジュンだった。
「どうした?」

「あ、東堂さんもいらしていたんですね。ちょうど良かった。実は西ノ宮叶星さんが」

「ん? 彼女がどうかしたか?」