東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

喉が乾いていたのか、ビールをゴクゴクと勢いよく飲んだ彼は、「あー、美味いな」としみじみと言う

その物言いに笑ってしまう。
「一体、どこに行っていたんですか」

「シンガポール」

「ええ? なんでまた」

「マルカ氏に会ってきたよ」

「もしかしてホテル王の?」

「ああ、いままでにない形の新しいホテル事業を展開するらしい」

「へえ。で? 契約取れたんですか?」
「まあな」

「なんだ。結局『兎う堂』を辞める気なんかないんじゃないですか」

「そんなことないさ、副社長はいつでも辞める気でいるぞ。フリーの営業マンになりたいよ、俺は」

あははと笑ったあとまたビールをひと口飲んで、彼はゆっくりと口を開いた。

「そっちはついでだ。本当の目的は、叶星の家族に会いに行った」

ピクリと仁の眉が動く。

――マジで?
思わず、なんでまたと言いそうになった。