東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

聞いたところでは、どうやら彼女には何の連絡もないらしい。

連絡をしない理由はなにか。
もし自分ならと考えた時、それは冷却期間をとるためだと、仁は思った。

考える時間。
気持ちを固める時間……。

そう考えた時。

「いらっしゃいませ」
バーテンの声がした。

振り返った仁は、弾けたように破顔する。

「あ、先輩」
現れたのは東堂大毅だった。

「いつ帰って来たんですか」

「いまだよ。叶星を知らないか?」

「え? 邸にいないんですか?」

「ああ、マンションに泊まるといって出かけたらしいが、マンションにもいない」

時計を見れば夜十時。

「友だちと飲みにでも行ってるんですかね」

「ったく。電話にも出ないし、なにやってるんだか」

ビールを頼んで、大毅はカウンターに腰を下ろした。

「悪かったな、面倒かけて」

「いえ、なにかで返してもらうから大丈夫ですよ」