東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

何日か前の夕食の時、デザートで食べたメロンは、舌が蕩けそうなほどジューシーで、うっとりするほど甘くて美味しかったのに。


気を取り直してバニラアイスを掬って味わってみた。

でも結果は同じ。
東堂家のシェフが作ってくれるアイスクリームのほうが何倍も美味しい。

パンケーキも生クリームまでも、なにもかもが予想していた味とは違っている。
去年の自分は、驚喜してこのメロンのパンケーキを食べたはずなのに。

叶星は、愕然とする思いでスプーンを置く。


そうか。
人はこうして贅沢を覚えてしまうのだと思った。

それでも残しては申し訳ないので、ほとんどを食べきったけれど、義務感で喉を通しただけのパンケーキを空にしたところで、残ったのは虚しさだけである。

店を出て、マンションにはタクシーで帰ることにした。