東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

ふと思い出してバッグを覗いた。

取り出したスマートホンには相変わらず着信履歴はないけれど、買い物中スマートホンのことを忘れていた自分にホッとした。

やっぱり出かけて良かった。
そう思いながら、スマートホンをバッグの中に戻す。

「やればできるじゃん、私」


彼が消えたのは日曜日。叶星は指を折って数えた。

――今日で六日目か。


叶星は、『兎う堂』を退職したその日から行方を眩まして、彼が消えるまで音信不通を通した。

もし今回の事件がなければ、あのまま自分から連絡をとることはなかっただろうと思う。

彼がお見合いをして、縁談がまとまって夫人の了解が出るまでずっと、
赤い屋根の別邸でひっそりと身を隠し続けたに違いない。


いまこうして彼の身を案じる立場になってみればわかる。
自分のしたことは、自分勝手な酷い行為だった。

彼の気持ちなど、全く無視したのだから……。


でも、本当に間違っていただろうか?