東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18


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空を見上げながら別館から出ていく叶星を、東堂夫人は自身の部屋の窓から見ていた。

「あら」と独り言を呟く。

東堂夫人の窓際には椅子があり、そこにゆったりと腰を沈めて読書をする時間が一日の中で最も至福の時だと思っているほど、夫人はその場所が気にいっている。

西側には南へ突き出た部屋があるので、その窓は直接強い西日が入ることもない。

何の予定もなく穏やかな午後は、静かなクラッシックの調べに耳を傾けながら、今日のように紅茶を飲みつつ何時間もそこで過ごしたりする。

扉がノックされて聞こえた「失礼いたします」という控え目な声。
それはいつもこの時間にお茶を持ってくる通いの家政婦の声ではなく、セイさんの声であることに、夫人は興味深げに振り返った。