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あくる金曜日。
叶星は久しぶりにクローゼットからバッグを取り出した。
曇天ではあるけれど、雨は降ってはいない。
天気予報によれば本降りになるのは夜。晴天なら暑いし、出掛けるにはちょうどいい。ということで出かけることにした。
毎日毎日、朝から晩まで考えることは同じ。
枕を濡らして目覚めた今朝。最初にしたことはスマートホンの着信を確認したことだった。
朝ご飯を食べながら、セイさんの仕事を手伝いながら。昼食をとっていた時もその後、生け花を教えてもらっていた時も、ずっと神経はスマートホンに向きっぱなし。
「いい加減疲れた」
こんな自分にはもううんざり。
ペシペシっと両頬を叩き、その勢いでスマートホンをバッグにしまい込んだ。
「よーし、オッケー。もう、夜まで見ない」
ここへ来てから十日を越えているが、思えばそのほとんどを東堂邸の中に籠るようにして過ごしている。
それがよくないんだと思った。
リビングを覗くと、お湯を沸かしているセイさんがいた。
「セイさん。私ちょっと出かけてきますね」
「はい。ゆっくりしておいで」
「マンションにも行って風を通してきます。ずっと閉め切りだし。今夜はそのままマンションで過ごそうかなと思って」
「そうかい。じゃあ夕ご飯はいらないね?」
「はい。今日はご遠慮します」



