仁は白樺の林を眩しそうに見つめながら、同じようにこの美しい風景を見ていただろう彼を思った。
「忙しいだろうにご苦労さまだな」
「いえ。忙しくしているだけで、忙しいわけじゃないですからね。俺ひとりいなくても会社は困らないんですよ」
フッと師匠は笑う。
「それが組織か。大毅も同じようなことを言っていたよ。俺がいなくても世界は普通に動きますから、とな。大袈裟な奴だ」
「あはは。でも彼がいなければ少なくとも『兎う堂』は困りますよ。一週間なら困らないかもしれませんが」
それは誇張じゃない。
社長の東堂氏の力は全く衰えてはいないが、弟の駿はまだ二十代。
どんな組織に安泰という文字はない。
現在、次期社長として本命視されているのは間違いなく大毅だが、もし今回のことが拗れるようなことになれば、勢力図が歪み始めるかもしれない。
ありえないし、そんなことはあってはならない。
絶対に。
「忙しいだろうにご苦労さまだな」
「いえ。忙しくしているだけで、忙しいわけじゃないですからね。俺ひとりいなくても会社は困らないんですよ」
フッと師匠は笑う。
「それが組織か。大毅も同じようなことを言っていたよ。俺がいなくても世界は普通に動きますから、とな。大袈裟な奴だ」
「あはは。でも彼がいなければ少なくとも『兎う堂』は困りますよ。一週間なら困らないかもしれませんが」
それは誇張じゃない。
社長の東堂氏の力は全く衰えてはいないが、弟の駿はまだ二十代。
どんな組織に安泰という文字はない。
現在、次期社長として本命視されているのは間違いなく大毅だが、もし今回のことが拗れるようなことになれば、勢力図が歪み始めるかもしれない。
ありえないし、そんなことはあってはならない。
絶対に。



