東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

そっと扉を開けて中に入ると、そこは意外なほど明るい空間だった。

ベーシックカラーはダークブラウンとか、もっと重厚な雰囲気を想像していたけれど、全然そんなことはない。家具は茶系だけれど、壁は白に近くて開放的な感じがする。

部屋の中に進んだ叶星は、リビングのテーブルの上にそっと花を置き、主のいない部屋を見渡した。

叶星は最初に窓に向かった。

「あの朝、ここにいたのね……」
その窓は、別館から彼を覗き見たあの窓だった。あの朝彼はコーヒーを飲みながらここから庭を見ていた。

庭木の向こう側にある別館を見ると、叶星の部屋が見える。
思ったより近く見えるような気もするし、やっぱり遠いようにも思えた。

あの日部屋を飛び出して彼に会っていれば、こんなことにはならなかった。もしそうしていたならば、どうなっていただろう。