東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

それに――。
彼のことが知りたかった。

ここにはどんな習慣があって、彼はどんな食事をして、どんな生活を送ってきたとか。彼のことがちゃんと知りたい。

東堂大毅という人を、もっと知りたい。
――私は副社長でいる時の彼しか知らないから。

帰ってきた彼とちゃんと向き合うために。もう決して逃げたりしないためにも。
もし彼が受け入れてくれるなら必死にがんばりたいと思った。


「よろしくお願いします」
あらためて深く頭をさげた叶星は、早速空になった夫人のカップを手に取った。

どんなに頑張っても夫人の足元にも及ばないだろう。
それでも、そうすることが彼への誠意だし、ここに連れて来てくれた夫人への感謝だ。
山奥とか遠い別荘ではなくて、東堂家に連れて来てくれたことへの感謝。

叶星はその思いをそっと胸に秘めた。


その日から、叶星は東堂邸の正式な住人になった。