「私はね自慢じゃないけれど極貧の家庭に生まれたの。バブルのお陰で父が成功し、一躍それなりの資産家にはなったけれど、少なくとも子供の頃は貧しかったわ……。四畳半の一間に家族四人で小さなテーブルを囲み、白いご飯にマーガリンとお醤油。それが途轍もないご馳走というほどにね。必死だった。もう二度とそんな思いをしないで済むように、ずっとただ必死に生きてきた」
懐かしむように窓の外を見つめる夫人に、叶星は息をのんだ。
夫人はラプンツェルのような、世間知らずの深窓のお姫さまではなかった。苦労を知っていて、それをおくびにも出さないだけ。
彼の母は、彼の母らしく、自分に厳しくて強く負けない女性なのだ。
息子の相手が私のような、根性なしの平凡な女性だと知ってさぞかしがっかりしただろうと思うと、叶星は居た堪れなくなって、また俯いた。
懐かしむように窓の外を見つめる夫人に、叶星は息をのんだ。
夫人はラプンツェルのような、世間知らずの深窓のお姫さまではなかった。苦労を知っていて、それをおくびにも出さないだけ。
彼の母は、彼の母らしく、自分に厳しくて強く負けない女性なのだ。
息子の相手が私のような、根性なしの平凡な女性だと知ってさぞかしがっかりしただろうと思うと、叶星は居た堪れなくなって、また俯いた。



