東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

甘い麦茶なんて想像もできなかったけれど、夏の暑い日に外仕事をする時はこの甘い麦茶に限るのよとセイさんが言っていたとおりだった。飲んだ傍からエネルギーか湧いてくるような気がする。

ひと息ついて本邸を眺めた叶星は、二階の、向かって左の窓に目をとめた。

ここに来た月曜の夜遅く、彼が来たという連絡がセイさんからあった。

それはいわば注意報で、その時は部屋から出ないようにしなければならないという知らせだ。

叶星の部屋がある別館は南の庭園の中の、本邸から見てやや西の方角にある。

本邸は敷地内の北側の西寄りに建っていて、叶星の部屋の寝室から見ると、木陰の間を縫って本邸の玄関周りが見える。

注意報があったあと、叶星は逸る気持ちを抑えながら暗い寝室に入った。

ワコさんに託した手紙を彼は読んだのか? 読んだとしてどう思ったのか。
一方的に消えた自分を彼はどう思っているのか。確かめるすべはない。