東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

使用人の食事は働いている対価だが、叶星はただ面倒をみてもらってばかりということになる。
好きでここにいるわけじゃないとはいえ、これにはさすがに気が引けた。なのでセイさんを通じて夫人に何か手伝いたいと申し出たのである。
それが昨夜のことだ。

というわけで、夫人の許可が今朝おりて始まったのが、この草むしりなのである。


芝生に仰向けになって五分くらい経っただろうか。

叶星の目に映るのは白い花をつけた大きなヤマボウシの木。風に揺れてサラサラと音を立てる葉の隙間からチラチラと陽の光が輝いた。

まだ午前中の十時のせいか、そよぐ風は涼しくて気持ちいい。

蚊取り線香の煙がゆらゆらと漂う様さえ、美しい風景の一部のようだった。
ここが都内であることを忘れそうになる。

よいしょと起き上がり、叶星は水筒の麦茶を飲んだ。

コクコクと喉を落ちていくセイさん特製の麦茶は甘くて冷たい。