東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18


セイさんは使用人の中で唯一の住み込みの家政婦で、先代のころからお邸にいるらしい。
なんでも知っているので、他の通いの家政婦や使用人たちが、こまめにセイさんのもとにやってくる。

年齢は七十代で、本人曰く既に半分は引退していているようなもので、別棟の一階に住みできる事だけをのんびりしているとかなんとか。

『あたしが一番暇だからね、あんたの面倒を買って出たんだよ』
最初こそ敬語だったが、いまはそんな感じでざっくばらんに話しかけてくれるのだった。

セイさんは三時になると、一階にある茶室で叶星にお茶をいれてくれる。
お茶といっても急須でいれるあの緑茶じゃない。本格的な茶道の、茶筅でシャカシャカするあのお茶だ。
なんでも免許皆伝の腕前という。
他にも華道、礼儀作法から英会話や中国語までこなすスーパーウーマンというから驚きである。

そんなわけで、叶星は何に気を使うことなくここにいればいいと云われてはいるが、家賃、光熱費、食費に、何かと世話をやいてくれるセイさんの人件費。
それらが全部無料というのはさすがに問題だと思う。