東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

「誘拐? 人聞きの悪いことを言わないでちょうだい」

「まぁいいさ。そっちがその気なら俺にも考えがある」

ソファから立ち上がった彼は、憮然としてして母を見下し、リビングをあとにした。

「待ちなさい!大毅。週末のお見合いは絶対に出席しなさいよ!」



次の日。
『兎う堂』に出勤した大毅は、朝の挨拶もそこそこに話しはじめた。

「俺の見合いについて、何か聞いてるか?」

黒崎は眉を潜める。
「いえ。なにも……」

黒崎の瞳を見つめながら聞いたが、さすがに彼は瞳孔を開くことも、挙動不審な様子を見せることもない。
そもそも彼には隠そうという意志はなかったのかもしれないし、大毅は最初から彼を疑ってもいなかった。

「実は、お渡ししたあの身辺調査は、夫人から渡されたものです」

滑らかにそう答えたあと、考え込むように呟いた。

「そうですか、お見合いが」