東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

そんなことに気を取られていたこともあって、引っ越し先のことを確認しなかった。

『じゃあ明日。お仕事が終わる時間に、会社の近くまでお迎えに行くからよろしく』

やけに楽しそうにそう言った夫人も、引っ越し先について一切口にしなかったのである。


そして今日。
約束通り、またしても夫人自らが会社近くの路地まで迎えに来てくれた。

会話もなく黙って車に揺られて、到着したのはここ東堂邸。

『灯台下暗しって言うでしょ?』
夫人は、ニッコリと微笑んだ。