東堂副社長の、厳しすぎる初恋 +7/18

「どうかしら、この部屋は。急いで改装したから至らない点もあるでしょう。気がついたことはなんでも言ってね」

「ありがとうございます。でも、十分です」



一昨日の土曜日。
明日荷物だけを取りに行くという連絡があって、日曜日の午後に東堂夫人が荷物持ちの若い男性二人を連れてやってきた。

いま思えば、あの時から変だった。

『身に着ける物以外、あなたが身ひとつで来ても大丈夫なように揃えてあるわ。家具や雑貨は余程気に入っているもでなかれば処分してしまいなさい』

そう言われたので、服飾品や小物をスーツケースや段ボールに詰め込んだ。

後々、夫人が用意してくれる場所から戻ってくる時も来るだろう。こっそり帰ってきたい時もあるかもしれない。
処分ならいつでもできるだろうと思い。悩んだあげくマンションは解約しないことにしてそのままにしておくことにした。